指定する前・受け取る前に

死亡保険金の受取人 相続税と分け方

死亡保険金を誰が受け取るかは、家族の生活資金と税金の両方に関わります。受取人の指定、相続人かどうか、複数人への割合、受取後に家族へ分ける予定を順に確認します。

受取人を確認する順番
  1. 指定を確認氏名・続柄・受取割合・変更履歴
  2. 相続関係を確認相続人か、放棄や先死亡があるか
  3. 受取後を確認誰がいくら受け取り、分け直す予定か

税目を確かめるときは、契約者名義だけでなく実際の保険料負担者も確認します。相続税・所得税・贈与税の基本的な分かれ方は死亡保険金の税金で説明しています。

受取人の立場で変わること

以下は、亡くなった被保険者が保険料を負担していた契約を前提に、受取人の指定と相続税上の扱いを整理したものです。保険料を別の人が負担した契約では税目自体が変わり得ます。

受取人ごとの主な確認点
受取人の状況受取りと税務の確認点
指定された相続人契約上の受取人として請求。相続税の対象となる場合、相続人が受け取った保険金の合計に非課税限度額を適用します。
指定された相続人以外の人保険会社が認めた指定なら請求できますが、死亡保険金の非課税枠は使えません。相続税額の2割加算の対象になる場合もあります。
相続放棄した指定受取人受取人固有の権利として請求できる場合があります。ただし本人の受取分に非課税枠は使えません。放棄を考えているときは請求前に専門家へ確認します。
複数の指定受取人保険会社に登録された受取割合を確認します。非課税枠を各人に等分するのではなく、対象となる相続人の受取額に応じて配分します。
指定受取人が先に死亡生前なら契約者が変更手続きを確認します。変更前に被保険者が亡くなった場合の受取人は約款などで異なるため、保険会社に照会します。

相続税の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」

被相続人が保険料を負担していた死亡保険金を相続人が受け取る場合、すべての相続人が受け取った対象保険金の合計について、次の非課税限度額を確認します。

死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数

これは相続税の課税対象額を計算するための限度額で、受け取った保険金が必ず全額非課税になるという意味ではありません。

  • 非課税限度額を使えるのは、死亡保険金を取得した人が相続人である場合です。
  • 相続人以外の人が受け取った死亡保険金には、この非課税の適用はありません。
  • 法定相続人の数を数えるときは、相続放棄があっても放棄がなかったものとして数えます。ただし、放棄した本人の受取分に非課税の適用はありません。
  • 養子がいる場合、人数に含められる養子には原則として上限があります。実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までです。例外を含む国税庁の説明も確認してください。

複数人で受け取る例:法定相続人が配偶者と子2人で、配偶者と子1人がそれぞれ1,000万円を受け取るとします。他に対象の死亡保険金がなければ、非課税限度額は合計1,500万円。2人の受取額が同じなので、各人の非課税額は750万円、各人の相続税の課税対象となる保険金額は250万円です。これは各人の相続税額ではありません。

相続人2人が各1,000万円を受け取る例
受取人受取額非課税額相続税の対象額
配偶者1,000万円750万円250万円
子1人1,000万円750万円250万円

この非課税限度額は、相続財産全体に適用する基礎控除とは別のものです。保険金だけを見て相続税の申告要否は決められません。

死亡保険金は遺産分割の対象とは限らない

契約で受取人が指定されている死亡保険金は、一般に受取人が固有の権利として取得し、本来の相続財産とは異なります。一方、相続税では被相続人が保険料を負担していたものを「みなし相続財産」として扱います。

そのため、「遺産ではないから相続税もかからない」「相続税の対象だから遺産分割で自由に分けられる」という理解はいずれも正確ではありません。指定方法や個別事情で法的評価が変わり得るため、争いがある場合は弁護士へ確認します。

受取後に家族へ分けると贈与になる場合がある

たとえば子が契約上の受取人として保険金を受け取った後、母へ一部を渡すと、子から母への贈与として贈与税の対象となる場合があります。家族の話し合いで遺産と同じように分ければよいとは限りません。

受取後の振込みを急がないでください。

保険金の受取人、保険料負担者、遺言、相続放棄、他の財産、家族間の合意を確認し、税務署・税理士・弁護士などへ相談してから資金を移します。

受取人を決めるときの考え方

まだ契約中なら、誰の生活費に必要かを先に決め、保険証券の受取人・割合がその意向に合うか確かめます。受取人変更には被保険者の同意と保険会社の手続きが必要です。複数人を指定する場合は割合も確認し、支払事由が発生する前に手続きを終えてください。

受取人を指定するときの確認点

確認項目考えること
誰の生活費に必要か配偶者、未成年の子、介護を担う家族など、死亡直後に資金を必要とする人を確認します。
相続人か非課税限度額、相続税の2割加算の対象、遺留分や他の財産との関係を専門家に確認します。
受取能力未成年、認知判断能力が低下した人、海外居住者などでは手続き・管理方法も確認します。
先に亡くなった場合受取人変更をしないまま死亡した場合の扱いは保険法・約款に関係します。定期的に生存と指定内容を確認します。
複数人を指定する場合指定割合、代表者、請求書類、各人の税務を保険会社へ確認します。

相続人以外の人などを指定する場合は、死亡保険金の非課税枠を使えないだけでなく、関係によって相続税額の2割加算が関係します。配偶者・一親等の血族など例外があるため、続柄だけで税額を見積もらず、税務署や税理士に確認してください。

受取後に集める書類

  • 保険証券と契約内容のお知らせ
  • 保険会社の支払通知書・支払明細
  • 保険料の負担者が分かる通帳・口座履歴・控除証明書
  • 被保険者と受取人の関係が分かる戸籍等
  • 他社を含む死亡保険金の一覧
  • 相続放棄、遺言、遺産分割に関する書類

公式情報

税制は2026年9月29日時点で確認しています。個別の申告要否は最新の法令と状況により判断してください。

次にやること

まだ契約中なら:保険証券の受取人と割合を確認し、希望と違えば保険会社へ変更手続きを尋ねましょう。受け取った後なら:支払通知、実際の保険料負担、相続人と放棄の有無を整理し、家族へ分け直す前に税務署・税理士へ確認してください。