告知義務違反は「質問への回答」が基準になる
告知義務違反は、保険会社から質問された重要な事項について、故意または重大な過失により事実を告げなかったり、事実と異なる内容を告げたりした場合に問題になります。よくある誤解は、「軽い病気なら書かなくてよい」「担当者に口頭で話せば足りる」と考えてしまうことです。
金融庁の案内によると、2010年4月1日以降に締結した契約では、保険会社が告知を求めた事項について事実を答える仕組みです。質問ごとに対象期間と治療・検査・職業などの記録を照らし、判断できない文言は保険会社の告知窓口に確認してください。古い契約は契約時の告知書と約款も確認します。
質問との照合が必要な代表例
| ケース | 確認したいこと | 次にすること |
|---|---|---|
| 通院・治療をしている | 病名、通院期間、治療内容、薬の有無、経過観察かどうか。 | 診察券、明細、薬の記録を確認し、告知書の対象期間に該当するか見る。 |
| 薬を継続して飲んでいる | 処方薬の名称、服薬期間、治療目的、症状の状態。 | 薬局の記録やお薬手帳を見て、自己判断で「軽い薬」と扱わない。 |
| 健康診断で異常を指摘された | 要再検査、要精密検査、経過観察、数値異常などの記載。 | 再検査を受けたかどうかにかかわらず、結果票を見ながら回答する。 |
| 過去に手術・入院がある | 手術名、入院期間、退院後の通院、再発や後遺症の有無。 | 医療機関の書類や診断書の控えを確認し、質問文の期間に合わせて整理する。 |
| 職業や作業内容を実態と違って伝えた | 告知書で聞かれた職種や業務内容、危険作業の有無。 | 職種名だけでなく、実際の作業内容を質問文と照合する。 |
迷いやすいケースは「書かない」ではなく確認する
一時的な受診でも、質問文の対象期間や治療内容に該当する場合があります。症状名だけで判断せず、受診日や薬の有無を確認します。
病名が分からなくても、検査、通院、薬、経過観察の事実が質問に該当することがあります。分かる範囲で記録を整理します。
健康診断で再検査や精密検査を指示されている場合、その事実自体が確認対象になることがあります。結果票の文言を確認します。
募集人に伝えただけでは、所定の告知として扱われない場合があります。「書かなくてよい」と言われた場合も、発言の日時や内容を控え、保険会社の告知窓口へ直接確認します。
事実だけで直ちに違反とは決まらない
たとえば、軽い体調不良で市販薬を使っただけ、医師の診察を受けていない、質問文の対象期間外だった、告知書で聞かれていない内容だった、という場合は、ただちに告知義務違反といえるとは限りません。
すでに申し込んだ後で漏れに気づいた場合は、生命保険文化センターの案内に沿って保険会社へ連絡し、追加の告知方法と契約への影響を確認します。募集人から告知しないよう勧められた事情があれば、そのやり取りも記録して伝えてください。
保険金・給付金の請求時に確認されること
保険金や給付金の請求時には、請求内容に応じて保険会社が診断書や医療機関への照会などにより、支払事由や契約時の告知を確認する場合があります。告知していなかった事実が見つかっただけで、どの契約も同じ扱いになるわけではありません。
告知義務違反による解除には、故意・重大な過失、保険会社が尋ねた事項、解除できる期間などの条件があります。解除されても、告知されなかった事実と今回の支払事由に因果関係がなければ給付を受けられる場合があります。また、募集人等による告知妨害や不告知教唆があったときは、解除の可否に影響します。生命保険協会の苦情事例Q&Aも確認し、保険会社の判断に納得できない場合は、理由と該当条項を確認して同協会の生命保険相談所に相談してください。
申し込み前に用意したい資料
- 直近の健康診断結果票
- お薬手帳、薬局の明細、処方薬の名称が分かる記録
- 通院先、診療科、通院時期、病名、検査内容のメモ
- 手術・入院の時期、手術名、退院後の通院状況
- 職業名だけでなく、実際の作業内容が分かる情報
- 保険会社に確認した日時、担当窓口、回答内容の控え