支払査定で困ったとき

生命保険金・給付金が支払われないとき|理由の確認と相談手順

不支払い・減額・調査中・書類不足を通知書で見分け、約款と事実を照合します。説明に納得できなければ、契約先への照会記録をまとめ、生命保険相談所の苦情取次と裁定審査会の利用条件を確認しましょう。

通知の封筒、資料をまとめたフォルダー、経緯を書き留めるノートとペンを並べた机
通知を受け取った後の確認順序

「不払い確定」「減額」「調査中」「書類不足」を分けてから、根拠と事実を照合します。

  1. 通知の状態結論か、調査・追加提出中か
  2. 根拠条項支払事由、免責、解除のどれか
  3. 事実と書類診断内容、日付、告知、提出控え
  4. 保険会社へ確認追加資料、再査定、説明書面
  5. 外部へ相談生命保険相談所、必要なら専門家

調査中や書類不足は、不払いが確定した状態とは限りません。通知書の表題と現在の手続状況を先に確認してください。

まず確認するのは「支払事由」と「免責事由」

生命保険は、約款で定められた支払事由に該当した場合に保険金や給付金が支払われます。反対に、免責事由や支払対象外に該当すると、死亡や入院などの事実があっても支払われないことがあります。

保険会社から不支払いや減額の説明を受けた場合は、結論を急がず、まず説明書面、約款、契約概要、注意喚起情報、請求書類の控えをそろえます。どの条項に基づく判断か、追加で提出できる資料があるかを確認しましょう。

理由が分からないときは、「支払わない結論が出たのか、まだ調査中なのか」「どの保障の、約款のどの条項と、どの事実に基づく判断か」「不足する資料を追加すれば再確認できるか」を契約先へ尋ね、回答を記録します。不支払いが確定した場合は、理由を説明した書面を確認してください。

支払われない・時間がかかる主なケース

不支払い・減額・調査になりやすい理由
理由 確認すること 関連ページ
支払事由に該当しない 入院日数、手術名、疾病名、障害状態、死亡原因が約款上の条件に該当するか。 保険約款の読み方
免責・待期間 普通死亡保険金の自殺免責、災害死亡保険金の重大な過失、がん保障の待期間など、請求中の保障に適用される条件を分けて確認。 保険金の請求方法
告知義務違反 申し込み時の告知内容、故意または重大な過失の有無、告知しなかった事実と請求原因との関係。 生命保険の告知義務
契約の失効・保障開始前 失効、復活前、責任開始前、がん保険などの待ち期間中に支払事由が発生していないか。 失効した保険の復活
重大事由による解除・詐欺による取消しなど 通知書に記載された事実と根拠条項。免責や告知義務違反とは別の判断です。 保険約款の読み方
請求書類の不足・確認中 診断書、死亡診断書、戸籍、本人確認書類などの不足。不払い確定ではなく調査中の場合があります。 保険金・給付金の請求方法
受取人・権利関係の確認 受取人が先に亡くなっている、相続関係が複雑、受取人変更が未反映など。 受取人が先に死亡した場合

死亡保険金で注意したい免責

普通死亡保険金では、責任開始後の所定期間内の自殺、保険契約者や保険金受取人が故意に被保険者を死亡させた場合などが問題になります。一方、災害死亡保険金・災害特約では、事故が対象になる条件や重大な過失など、別の免責も確認が必要です。「犯罪行為」という言葉だけで、普通死亡保険金まで一律に支払われないと決めつけないでください。免責期間や扱いは契約時期・商品・約款によって異なります。

「このケースなら必ず支払われない」と自己判断しないでください。

同じように見えるケースでも、契約日、復活日、特約の有無、死亡原因、医師の診断内容、保険会社の調査結果で判断が変わることがあります。請求できる可能性がある場合は、まず保険会社へ連絡しましょう。

告知義務違反と言われたときに確認すること

告知義務違反は、単に過去の受診歴が告知書に書かれていなかったというだけで、すべての請求が自動的に不払いになるとは限りません。保険会社が質問した告知事項だったか、故意または重大な過失があったか、募集人による告知妨害や不告知の勧めがなかったかを確認します。

告知しなかった事実と、今回の死亡・病気・けがとの間に因果関係が認められない場合は、保険金・給付金が支払われることがあります。また、解除できる期間は保険法と約款の定めを確認する必要があり、責任開始から2年を過ぎていても、支払事由がその期間内に発生していた場合や、詐欺による取消しなど別の問題がある場合は取扱いが異なります。

請求をためらっている場合は時効も確認する

保険法では、保険金・給付金を請求する権利は、権利を行使できる時から3年間行使しないと時効により消滅すると定められています。請求原因が起きた日や不支払通知を受けた日から機械的に数えるのではなく、契約と請求内容に応じて起算点を確認してください。

3年を過ぎた請求でも支払いが認められる可能性はあります。請求漏れに気づいたら、期限だけで諦めず契約先に連絡しましょう。反対に、会社と見解が分かれていて期限が近い場合は、相談や再査定の依頼だけで時効への対応が済むと考えず、早めに弁護士等へ相談してください。生命保険文化センターの請求期限の案内も確認できます。

相談先を使うときの考え方

生命保険協会の生命保険相談所では、生命保険に関する相談・照会・苦情を受け付けています。また、苦情対応でも解決しない場合に、中立・公正な立場から紛争解決支援を行う裁定審査会の案内もあります。

相談するときは、保険証券、約款、不支払い理由の書面、請求書類の控え、保険会社とのやり取りの記録をまとめておくと、状況を伝えやすくなります。

生命保険相談所は、契約先に代わって個別契約の内容を調査したり、必ず支払いを命じたりする窓口ではありません。まず契約先の保険会社へ理由と根拠を確認し、その記録を残してから相談します。

相談先を選ぶ順序
相談先 相談する内容
契約先の保険会社 不払い・減額・調査継続の理由、根拠条項、再査定や追加書類の可否。
生命保険協会 生命保険相談所 保険会社との話し合いで解決しない苦情や相談。保険会社への申出記録を用意します。
裁定審査会 生命保険相談所での苦情対応を経ても解決しない場合の紛争解決支援。利用条件や対象外事案があります。
弁護士などの専門家 医療記録・因果関係・受取人・時効・訴訟など、個別の法律判断や証拠整理が必要な場合。

苦情相談から裁定申立てへ進む手順

生命保険相談所への相談と、裁定審査会への申立ては別の段階です。裁定を希望する場合も、まず相談所へ連絡し、保険会社への苦情取次を経て手続きを確認します。相談の対象は公式Q&Aで確認してください。共済・少額短期保険などは、別の窓口になります。

  1. 契約先へ理由と再確認の窓口を聞く
    通知書の根拠条項、会社が確認した事実、自分が提出できる追加資料を尋ねます。担当窓口・連絡日・回答を控えます。
  2. 相談所へ、未解決の点を伝える
    保険会社と話し合った経緯と希望する対応を伝えます。苦情の解決依頼をする場合は、相談所が会社へ依頼した日と、その後の対応状況を確認します。
  3. 解決依頼後、原則1か月を経ても未解決なら申立てを相談する
    起点は相談所が会社へ解決を依頼したときです。不支払通知の日や、自分が最初に会社へ電話した日からではありません。自動的に裁定へ移るのではなく、希望を伝えます。
  4. 案内された申立書と証拠書類を提出する
    事務局から申立書・手引きを受け取り、根拠となる書類を添付します。公式案内では2部提出とされており、同意欄や代理人の手続き、不備の補充も送付された案内で確かめます。

会社が独自に設ける審査窓口と、生命保険協会の裁定審査会は区別してください。例えば第一生命の不支払い時の説明体制には、支払照会窓口、異議申出窓口、支払審査会などがあります。他社にも同じ名称や手順があるとは限らないため、自分の契約先の案内を確認します。

「会社の説明・自分の事実・希望」を分けてまとめる

「手術給付金の対象外」と通知された場合は、次の内容を控えると、どの点を確認したいのか伝えやすくなります。手術を受けた事実だけで支払対象とは決まらないため、約款の定義と会社の判断を照合してください。

手術給付金の不支払通知を受けたときの整理例
整理するもの控える内容照合する資料
会社の説明対象外とした術式・日付・根拠条項。不明なら、どの事実から判断したかを質問。不支払通知、回答書面、該当する約款の条文。
自分が確認できる事実手術名・手術日・契約の保障開始日。会社の把握と違う箇所を具体的に示す。診療明細、提出した診断書の控え、保険証券。
希望する対応該当条項の説明、未確認資料の確認、追加資料による再査定など、求める対応。自分からの照会と会社の回答を、日付順にまとめた記録。

資料には通し番号を付け、連絡日・窓口名・要点と対応させると、説明と証拠を探しやすくなります。新たな診断書を有料で取る前に、既存書類や代用書類で確認できるかを契約先へ聞いてください。告知内容が争点なら、告知義務違反を指摘されたときの確認点も参照できます。

利用条件・費用と、解決の限界も確認する

裁定の申立ては、原則として生命保険契約上の権利を持つ本人が行います。保険金請求なら受取人が該当します。代理を希望する家族等は、事務局へ必要手続きを確認してください。

裁定に要する費用は無料ですが、郵便代・コピー代・書類の準備費用、事情聴取に出席する交通費などは自己負担です。確定判決等と同じ紛争や事実認定が著しく困難な事案など、受理されない場合もあります。申立てどおりの解決や和解案の提示、保険金の支払いが保証される制度ではありません。

相談や申立ての検討中でも、請求権の期限が近い場合は、その旨を相談先へ伝え、弁護士等に時効への対応を確認してください。

最初に手元へそろえるもの

  • 保険会社の通知書・説明書面と、現在の手続状況
  • 保険証券・約款・契約日と保障開始日が分かる資料
  • 提出済みの請求書類と追加提出を求められた資料
  • 保険会社との連絡日、担当窓口、説明内容の記録
  • 請求権の起算点と期限が分かる資料。期限が近ければ専門家にも相談

公式情報で確認したいこと

確認日:2026年10月24日。契約の支払条件は加入時の約款、相談・申立ての手続きは各窓口の案内で確認してください。

次にやること

不支払いや減額の説明を受けたら、まず理由と根拠条項を確認します。約款や提出書類を見直し、追加書類の余地があるかを保険会社に確認したうえで、必要に応じて相談窓口へ進みましょう。

サイト監修者

ふかちゃん

MoneyLifehack(マネーライフハック)編集長

株式会社イノベイドの金融情報提供事業部で、MoneyLifehack(マネーライフハック)の編集長を務めています。証券会社で家計改善・資産運用の相談業務に携わった経験をもとに、2004年から金融・投資・節約などの情報を発信しています。

プロフィール・経歴 X:@mlifehack123

記事制作:株式会社イノベイド