生命保険会社における責任準備金の内訳は前述の通り「支払保険料-(加入期間の保険料+保険会社のコスト等)」となります。これまでに支払った保険料の金額よりも加入期間で使用した保険料に保険会社のコストを加えたものが小さければ解約返戻金が発生するということになります。
生命保険における解約返戻金の基本額となるのが、責任準備金です。この責任準備金の計算式は前述の通り、
支払保険料-(加入期間の保険料+保険会社のコスト等)
により求めることができます。つまり、支払った金額から実際に保険で使った金額と保険会社の経費を指し位引いたものが責任準備金(解約返戻金の原資)となるわけです。
よく、生命保険の契約をしてすぐに解約をするとほとんど解約返戻金がでないという話を聞きます。これは、解約返戻金の原資である「責任準備金」で引かれている「保険会社の経費」が曲者であるためです。
終身保険における「責任準備金」からは、生命保険会社の運営コストが差し引かれています。この運営コストのうち大きな割合をしめているのは「契約コスト」です。生命保険会社各社は生命保険契約をとるために多数の営業人員を抱えており、その費用は大きなものとなります。そしてこの契約コストは初回のみ必要になっており、その後のコストは運営によるコストということになります。
例えば、契約コスト50万円、毎年の運営維持コスト5万円と仮定した場合で、保険料は定額年30万円としましょう。計算を簡略化するため、ここでは年間に必要な死亡保険料を年5万円とします。このケースで1年目から5年目までの責任準備金の額を見ていきましょう。(予定利率は計算の簡略化のため年0%と仮定します)
年数(返戻率) | 支払保険料 |
使用保険料 |
契約コスト |
運営コスト |
責任準備金 |
解約返戻金 |
1年目(0%) | 30万円 |
5万円 |
50万円 |
5万円 |
-30万円 |
0円 |
2年目(0%) | 60万円 |
10万円 |
10万円 |
-10万円 |
0円 |
|
3年目(11%) | 90万円 |
15万円 |
15万円 |
10万円 |
10万円 |
|
4年目(25%) | 120万円 |
20万円 |
20万円 |
30万円 |
30万円 |
|
5年目(33%) | 150万円 |
25万円 |
25万円 |
50万円 |
50万円 |
上記のように、1年目〜2年目まではコストの方が大きいため、解約返戻金の金額は0円ですが、3年目からは徐々に増えていきます。
さらに、解約時の払込み総保険料に対する解約返戻金の割合も1年目、2年目は0%、3年目は11%、4年目は25%、5年目は33%と次第に増えていっています。これは契約コストの50万円が加入年数が長くなることにより平準化されていくためです。実際にはこの責任準備金は予定利率により運用されますので結果はもう少し解約返戻金の金額が大きくなります。
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