個人年金保険をこれから契約する方、保険料が負担になり解約を考えている方へ。リスクは「元本割れ」という一語では判断できません。払込総額、今日解約した場合の返戻金、年金開始後の受取額は別の金額です。まず何が、いつ変わるかを確かめます。
- 払込総額これまで実際に払った保険料の合計。
- 今日の解約返戻金運用・金利・解約控除などを反映した、途中解約時の額。
- 円で使える額外貨建てなら、円への換算相場と費用を反映した額。
契約を継続して将来受け取る年金額は、今日の解約返戻金とは別です。円建て契約では3番目の為替換算はありません。
商品名より、リスクの原因を確認する
定額・変額は主に運用方法の違い、円建て・外貨建ては契約通貨の違いです。変額と外貨建てが組み合わさる契約もあります。「定額だから為替リスクはない」とは限りません。生命保険協会の市場リスクの案内を参考に、契約概要と注意喚起情報で次の要因を確かめてください。
| 原因 | 影響を受ける額 | 書類で見る点 |
|---|---|---|
| 早期解約・解約控除 | 途中解約時の返戻金。払込総額を下回る場合がある。 | 年ごとの返戻金、控除期間、保険料の払込終了時期。 |
| 物価上昇 | 定額で受け取る年金の購買力。 | 年金額と受取期間、将来の生活費の見込み。 |
| 株価・債券価格 | 変額型の積立金、年金原資、返戻金。 | 特別勘定、費用、保証の対象と時点。 |
| 為替相場 | 外貨建て契約の円換算後の受取額。 | 契約通貨、円への換算費用、受取通貨。 |
| 市場金利 | 市場価格調整付き契約の解約返戻金。 | 金利変動が返戻金に反映される条件。 |
市場価格調整付きでは、年金原資に最低保証があっても、年金開始前の解約返戻金が金利変動で減る場合があります。変額年金の最低保証や定額年金の通貨と予定利率は、それぞれのページで詳しく説明します。
解約する前に、契約先へ金額を照会する
設計書にある将来の返戻金は、今受け取れる額とは違います。解約を考え始めたら、加入先に「今日解約した場合の返戻金」「解約控除や市場価格調整の内訳」「年金開始まで続けた場合の受取見込み」を同じ時点の資料で示してもらいます。変額型・外貨建てでは、照会日から実際の解約日までに金額が変わり得ます。
保険料負担が理由なら、保険料の払込中止・減額・受取開始時期の変更ができるかも尋ねてください。選択肢は契約ごとに異なり、変更すれば年金額や死亡時の給付、控除区分が変わる場合があります。解約して他の保険へ入り直す前に、新契約の保障開始や告知条件も確認します。
公的年金と、途中で使う資金を先に分ける
個人年金保険は公的年金を置き換える制度ではありません。ねんきんネットの見込額試算で公的年金の目安を見たうえで、退職金・預貯金・企業年金と生活費の差を確認します。見込額は将来の受給額を保証しません。
数年以内に使う教育費、住宅費、生活予備費まで長期間の保険料や一時払保険料に回すと、解約を避けにくくなります。近く使うお金と老後まで待てるお金を分けてから、民間保険で補う範囲を考えてください。
控除と受取時の税金は契約によって異なる
「個人年金保険」という名前だけで、個人年金保険料控除の対象とは判断できません。国税庁の生命保険料控除の案内と控除証明書を確認してください。生命保険文化センターのQ&Aでは、変額個人年金保険は一般の生命保険料控除の対象で、個人年金保険料控除の対象にはならないと説明しています。
年金を受け取る際は、実際の保険料負担者と受取人が同じかどうかで税の扱いが変わります。同じ人なら年金の利益部分は公的年金等以外の雑所得で、異なる場合は年金を受け取る権利に贈与税が関係することがあります。国税庁の個人年金の課税案内と支払通知を確認し、解約・一時金受取を含む個別判断は税務署・税理士へ相談してください。
保険会社が破綻したときの「90%」を誤解しない
生命保険契約者保護機構のQ&Aでは、補償対象契約について、高予定利率契約などの例外を除き、破綻時点の責任準備金等の90%までが補償対象とされています。受け取る年金額や払込保険料の90%が必ず戻るという意味ではありません。特定特別勘定に係る部分も対象から除かれます。
保険金額や予定利率など契約条件が変更される可能性があり、貯蓄性の高い個人年金保険では影響が大きくなる場合もあります。銀行等で加入した変額年金の保護制度も預金保険とは別です。破綻時の個別契約の扱いは保護機構と承継先・保険会社の案内で確認してください。
次にやること
- 公的年金の見込額と、途中で使う予定の資金を分ける。
- 契約通貨、運用方法、市場価格調整の有無を契約概要で確認する。
- 加入先に今日の解約返戻金、控除・費用の内訳、継続時の受取見込みを照会する。
- 保険料負担者・受取人と控除証明書の区分を確認し、税務の個別判断は公的窓口に相談する。
払込から受取までの時間軸は個人年金保険のしくみ、保険以外の方法も含めた比較は個人年金保険とNISAで確認できます。