貯蓄保険料は「引き出せる残高」ではない
払込保険料は、将来の保険金・給付金の財源となる純保険料と、事業費に充てる付加保険料に分かれます。「貯蓄保険料」は、その純保険料を保険数理上さらに分けたとき、将来の支払いに備えて積み立てられる部分を指す用語です。国税庁の研究資料でも理論上の区分として説明されています。契約者ごとの預金口座を意味せず、証券にその内訳額が載るとは限りません。
貯蓄保険料の累計を、そのまま解約返戻金として受け取れるわけではありません。
払い込んだ保険料は保険金の支払い・契約の維持管理などにも使われます。生命保険契約者保護機構は責任準備金が払込保険料の合計と異なることを説明しています。さらに、契約者が解約時に受け取る額は契約に定められた返戻金で、保険種類や経過年数などによって変わります。
| 用語 | 何を表すか | 確認方法 |
|---|---|---|
| 貯蓄保険料 | 将来の保険金などに備える純保険料の理論上の区分。 | 証券に内訳額が載るとは限りません。これだけで返戻金を計算しません。 |
| 責任準備金 | 保険会社が将来の支払いのために積み立てる額。 | 払込保険料の合計や、今の解約返戻金とは異なります。 |
| 解約返戻金 | 契約を解約した時点で、条件に応じて受け取れる額。 | 今の金額は契約先へ照会。将来の設計書の例示額とは分けます。 |
予定利率・返戻率・返戻金を分ける
予定利率は、保険会社が運用による収益をあらかじめ見込み、保険料の計算で割り引くための率です。預金利息のように貯蓄保険料へ毎年付く利率ではありません。返戻率は、ある時点の受取額をその時点までの払込保険料と比べる割合です。現在の解約返戻金は契約先に照会する金額であり、予定利率から単純に計算できません。生命保険文化センターの予定利率の説明も参照してください。
外貨建て契約なら、返戻率の比較通貨と円換算時の為替も確認します。返戻率は税引き後の利回りではなく、急な支出に備える預金の代わりにもなりません。
貯蓄型保険を見直すときの比較
| 選択肢 | 確認したいこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 続ける | 予定利率、保障額、払込期間、今後の保険料、家計への負担を確認します。 | 保険料が重い場合、貯蓄や生活費を圧迫していないか見ます。 |
| 減額する | 保障額と保険料を下げることで、契約を残せるか確認します。 | 解約返戻金や将来の保障額が変わります。 |
| 払済にする | 以後の保険料を止め、保障を小さくして残せるか確認します。 | 特約が消える、保障額が下がる、変更できない契約がある点に注意します。 |
| 解約する | 解約返戻金、税金、再加入の可否、必要保障がなくならないかを確認します。 | 早期解約では返戻金が少ない場合があります。元の契約に戻せない場合もあります。 |
| 転換する | 今の契約の価値を新しい契約に使う提案か確認します。 | 予定利率、解約返戻金、告知、保険料、元の契約に戻せるかを確認します。 |
保険と預金・投資を混同しない
貯蓄型保険には、保障と資金準備の両方の性格があります。そのため、単純に預金金利や投資利回りだけと比べると判断を誤ることがあります。一方で、保障が不要な人にとっては、保険料の固定負担や途中解約の不利さが大きくなる場合もあります。医療費や死亡後の生活費は公的保障を確認し、緊急資金は預金など流動性の高い資金と分けて考えます。
外貨建て保険や変額保険では、為替リスク、市場リスク、手数料、解約控除も確認が必要です。契約概要、注意喚起情報、約款を確認し、不明点は保険会社や専門家に確認してください。
現在の契約条件で比べる
過去の予定利率が高くても、現在の解約返戻金をその数字から推定することはできません。払込保険料の累計、今日の返戻金、満期・年金の受取予定額、残る保障を同じ契約資料で確認しましょう。
解約前に数字をそろえる
- これまでの払込保険料総額と、今日解約した場合の受取額
- 満期・年金の受取予定額と、今後払い込む保険料総額
- 残る死亡保障・特約と、減額・払済にした場合の保障額
- 外貨建て・変額型なら円換算額、費用、為替・市場リスク
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貯蓄型保険を解約・転換する前に整理したいとき
解約返戻金や返戻率だけを見ると、保障、税金、流動性、NISAや預金との役割分担を見落とすことがあります。
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- 向いている人
- 貯蓄型保険の保険料が重い人、解約返戻金や予定利率を確認したい人、NISAや預金との役割分担で迷っている人。
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公式情報で確認したいページ
- 生命保険文化センター 予定利率などの用語
- 国税庁 税務大学校研究資料:貯蓄保険料の理論上の区分
- 生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会 解約返戻金
- 生命保険文化センター 解約時の注意点
- 生命保険契約者保護機構 責任準備金の説明
- 国税庁 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき