
答え:生命保険では一般に、死亡・満期などの支払いを「保険金」、入院・手術などの支払いを「給付金」と呼びます。支払後に対象の契約・特約が終わるか続くかが違いますが、名称だけでは判断できません。受取額は支払条件と計算方法、税金は支払理由と受取人などで確認します。
違いは「金額の大小」ではなく、支払う場面と契約の扱い
生命保険文化センターの相談マニュアルでは、一般的な使い分けとして次のように整理しています。実際の支払条件は、加入中の商品・特約の約款を優先してください。
| 呼び方 | 主な場面 | 支払後の契約 |
|---|---|---|
| 保険金 | 死亡保険金、満期保険金、高度障害保険金など。 | 対象の契約・特約が終了することが多い。 |
| 給付金 | 入院給付金、手術給付金、通院給付金など。 | 対象の保障が続くことが多い。支払回数・限度は別に確認。 |
例外もあります。がん診断給付金や三大疾病一時金は、名称だけで契約が続くか判断できません。「保険金か給付金か」よりも、どの出来事で、誰に、何回支払い、その後どの保障が残るかを保険証券と約款で確かめます。
「入院保険金」という名称もあります。日本損害保険協会の医療保険Q&Aでは、入院や手術に対する支払いを「入院保険金」「手術保険金」と呼んでいます。手元の通知に「保険金」と書かれていても、それだけで死亡時の支払いや契約の終了を意味するとは限りません。
入院と手術の給付金は、それぞれ計算して合計する
同じ入院でも、入院給付金と手術給付金の両方が支払対象になる契約があります。生命保険文化センターも、主契約・特約によって複数の給付を受け取れる場合があるため、請求漏れを確認するよう案内しています。
日額5,000円、支払対象の入院7日、手術倍率20倍の契約なら
7日すべてが入院給付の対象で、入院中の手術1回が「入院給付金日額の20倍」の支払対象となり、両給付を受け取れる条件とします。入院日数・手術の種類が約款に該当し、支払限度に達していない場合の金額です。
| 給付の種類 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 入院給付金 | 日額5,000円 × 支払対象7日 | 35,000円 |
| 手術給付金 | 日額5,000円 × 20倍 × 対象手術1回 | 100,000円 |
| 合計 | 35,000円 + 100,000円 | 135,000円 |
日数や倍率は契約ごとに違います。医療保険の給付内容には、入院日数によらない一時金型や、短い入院でも一定日数分を支払う型があります。「7日入院したら必ず7日分」とは限りません。手術も対象となる種類や倍率が異なるため、手術給付金の確認点で契約の種類から確かめてください。
支払通知は「合計額」より先に給付ごとの内訳を見る
振込額だけでは、入院・手術・付加した特約のどこまで支払われたか分かりません。支払通知・明細と保険証券を照合します。通知の項目名や書式は会社によって異なり、必要な情報がなければ契約先に確認してください。
- 契約と給付名:どの証券番号の、どの主契約・特約に対する支払いか。請求した給付が抜けていないか。
- 対象日数と倍率:入退院日、支払対象の日数、手術日・対象手術・倍率を確認する。上の条件なら35,000円と100,000円に分かれる。
- 残る保障:契約・特約が続くか、今後の入院や手術に使える限度、次回給付の条件を確認する。
- 差がある場合:日数の数え方、対象外となった理由、限度到達の有無を問い合わせる。自己計算だけで不支払いと決めない。
日本生命の「給付金お支払明細書」の案内も、支払内容を確認し、不明点は同社へ連絡するよう案内しています。手元の通知と契約先の案内を使い、提出後の受付・支払明細の確認まで記録を残しましょう。
請求する人と書類も違う
死亡保険金は指定された受取人が請求するのが基本です。入院・手術給付金は被保険者が受取人となる契約が多く、本人が請求できない場合は指定代理請求人の設定が役立つことがあります。請求できる範囲は契約ごとに異なります。
保険会社へ連絡するときは、保険証券の番号、受取人、死亡日や入院・手術の日、正式な手術名を手元に置きます。診断書が必要とは限らず、所定の条件では領収書や診療明細書で請求できる場合もあります。取り寄せる前に保険金・給付金の請求手順を確認してください。
家族登録と指定代理請求・契約者代理の違い:契約内容の照会、給付金の請求、解約・減額で必要な登録を確認できます。家族として登録済みでも、今回の給付を請求できるかは加入先へ確かめてください。
確定申告では「名称」ではなく支払理由を見る
| 受け取るもの | 基本的な確認点 | 公式情報 |
|---|---|---|
| 死亡保険金 | 保険料を負担した人、被保険者、受取人の関係により、相続税・所得税・贈与税のどれかを確認する。 | 国税庁 No.1750 |
| 満期保険金・解約返戻金 | 保険料負担者と受取人が同じか異なるか、受取方法は一時金か年金かを確認する。 | 国税庁 No.1755 |
| 入院・手術給付金 | 病気やけがに基づく給付を被保険者本人が受ける場合、通常は所得税の非課税対象。ただし医療費控除を申告するなら、対応する医療費から補てん額を差し引く。 | 生命保険文化センター・国税庁 No.1126 |
「非課税」と「医療費控除で差し引く」は別の話です。
入院給付金などを所得税の収入として申告しない場合でも、医療費控除を申告するなら、その給付金で補てんされた医療費から差し引きます。差し引くのは給付の目的となった医療費が上限で、余った分を別の医療費から引く必要はありません。国税庁の具体例で確認できます。
医療費控除を申告する際、給付金が翌年に入金される場合や金額が未確定の場合は、給付金の見込額と確定後の訂正手順も確認してください。未確定の給付額は見積もり、支払通知が届いたら確定額との差を確認します。
「給付金」と名付けられたものがすべて非課税ではありません。生存給付金について贈与税を検討する国税局の事例もあります。また、被保険者が請求前に亡くなり遺族が入院給付金を受け取る場合は相続財産となることがあります。支払通知書にある正式名称と受取人を確認し、迷う場合は税務署・税理士に相談してください。
自分の契約で確認する順番
- 保障名保険証券・特約欄で正式名称を確認。
- 支払条件約款の支払事由・対象外・回数を確認。
- 受取人誰が請求できるか、代理請求の可否を確認。
- 税務受取理由と三者の関係、医療費控除を確認。
公的医療保険の給付と民間保険の給付は別の制度です。高額療養費などは加入先の健康保険へ、民間保険の支払可否は契約先の保険会社へ確認します。
- 請求方法を知りたい:保険金・給付金の請求
- 手術給付金が対象か知りたい:手術給付金の確認点
- 税金を詳しく知りたい:死亡保険金の税金・満期保険金の税金
- 支払われない理由を調べたい:不支払い時の確認
公式情報で確認したいこと
情報確認日:2026年10月22日。国税庁No.1126・1750・1755は2026年4月1日現在の法令等に基づく案内です。支払条件は加入中の約款、税務は支払理由と保険料負担者・受取人の関係で確認します。
- 生命保険文化センター「相談対応マニュアル第8章」114ページ(PDF):生命保険での一般的な名称と、支払後の契約・特約の扱いを確認できます。
- 日本損害保険協会「医療保険」:入院保険金・手術保険金という名称、日額・倍率・支払限度の確認に役立ちます。
- 生命保険文化センター「医療保険」:日額型・一時金型、入院日数や手術給付の違いを確認できます。
- 生命保険文化センター「保険金・給付金の受け取り」:主契約と特約の支払条件、複数の給付や代理請求を確かめられます。
- 日本生命「給付金お支払明細書」:同社の通知の目的と、支払内容に不明点があるときの確認先です。
- 生命保険文化センター「入院給付金などには税金がかからない?」:傷病に基づく給付の非課税と、未請求のまま亡くなった場合の違いを確認できます。
- 国税庁 No.1126「入院費用の具体例」:医療費控除で差し引く補てん額と、未確定時の取扱いを確認できます。
- 国税庁 No.1750「死亡保険金を受け取ったとき」・No.1755「満期保険金等を受け取ったとき」:保険料負担者と受取人などによる税目の違いを確認できます。